100(時間残業)は二度死ぬ

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月の残業時間の上限を100時間までとする、というニュースが話題になっている。

さらっと「100時間まで」と言うが、現代社会において月に100時間残業することがどれだけ恐ろしいことか、理解されていないように思える。

そもそも100時間残業がどういう生活なのか

とりあえず単純計算

うちの会社は9時出勤、17時半が定時で完全週休2日制。
ひと月に出勤日が20日あるとして、月に100時間残業している場合、1日に5時間残業している計算だ。

あるいは、土日のどちらかが毎週休日出勤だというケースもある。(こちらの方がよく聞く)
平日は毎日4時間弱の残業、それに加えて毎週8時間の休日出勤が続くと残業時間が月100時間に到達する。

休憩時間・通勤時間・生活時間の罠

上のケースの場合「17時半が定時で5時間残業なら22時半退勤か、意外とちょろいな」と思う人もひょっとしたらいるかもしれない。
しかし、法律上は長時間働く場合「休憩時間」という名の儀式を設けないといけない。働いたことがない人向けにこの儀式を説明すると

  • 5時間残業する場合、だいたい1時間半の休憩時間を設けないといけない
  • 休憩時間の間は当然無給
  • 休憩時間は働く時間

である。特に3番目がよくわからないが、そうなのである。
(休憩時間の儀式中に休んでいると上司にぶん殴られるから試しにやってみよう)
つまり1日に5時間残業している人は、儀式のために1時間半余分に働いている、つまり17時半が定時なら翌0時まで働いているのだ。

さらに、仕事が終われば当然家に帰らなければならない。ごく稀に会社が住処だという人もいるが。
そして、家に帰ればご飯を食べたり風呂に入ったりするだろう。通勤時間・生活時間も含めると、就寝時間は1時半か2時くらいになってしまう。
もちろん、趣味の時間など取れるわけもない。ストレス発散の機会は与えられないのだ。

月に100時間残業をするということは、このような生活が常に続くということだ。

100は二度死ぬ(You Die Twice)

体が死ぬ

表題はもちろん「007は二度死ぬ」のもじり。ただ、あちらが「You Only Live Twice」なのに対しこちらは文字通り「You Die Twice」である。

先述の生活が続けば、十分な睡眠時間が確保できなくなるのはもちろんのこと、家でゆっくりくつろぐ事もままならなくなる。
食事もコンビニ飯ばかりになったり、場合によっては食事する時間すらなくなる事もあり、栄養バランスはボロボロになる。

このような状態が続けば、体に深刻なダメージを与えることは想像に難くないだろう。

心が死ぬ

残業と炎上は相性がいい。

100時間も残業しなければならない背景には、ほぼ確実に「人手不足で大炎上しているプロジェクト」がある。炎上あるところに残業あり、残業あるところに炎上あり、だ。
炎上中のプロジェクトに長い時間身を置くことがどれほど苦痛か、考えただけでゾッとするものだ。

筆者が最後に働いていた現場では、同じフロアの別チームが大炎上、まさに月100時間の残業という状態だった。
たびたびチームの手伝いに駆り出されたが、どんな雰囲気だったかというと

  • 目がうつろ
  • 足元がおぼつかない
  • 怒号が飛び交う
  • 悲鳴も聞こえる
  • 進捗出ない
  • ゴールが見えない
  • 全てを諦め何もかも受け入れる(徹夜も厭わない)
  • などなど

といった具合だ。この現場途中で抜けちゃったけどみんな無事かなあ。

心が死んでも社会問題にならない分、こちらの方がタチが悪いかもしれない。

「昔の」100時間残業と「現代の」100時間残業は違う

よく書籍などで言われているのは、昔と現代の労働内容の差だ。

偉そうな上司がよく「俺なんか昔は当たり前のように100時間残業してたぜ」とかほざいているが、多くの場合はダラダラ仕事をやって外をほっつき歩いて時間を潰した結果100時間経っただけなのだ。

比べて現代はどうか。
ダラダラ仕事をしようものなら上司から檄が飛ぶだろう。外をぶらぶら歩くなんて言語道断である。
現代の100時間残業は常に緊張感漂う中、頭も身体もフル稼働する追加の100時間なのである。

100時間残業しても健康に生きているのは「奇跡中の奇跡」

現代において100時間残業をこなして、なお健康に生き続けられるのは奇跡としか言いようがない。もしもう一度同じ環境に置かれれば、ほぼ確実に何らかの死が訪れるはずである。
このような意識が希薄なために、超長時間労働が蔓延しているのだと思う。

よくSNSで残業時間に関するネタに食いついて「俺は○○時間残業した」「私なんて××時間も残業してます」と不幸合戦が始まる様子を目にするが、心が死んでいる格好の例である。彼らもまた被害者なのである

100時間残業は人を二度殺しにかかる。しかし、人生は一度きり(You Only Live Once)だ。

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